共栄ニュース 9月号「乗務員の人材育成」

2025/09/01

 配送先である顧客からの評価を重視するA社は、乗務員の人材育成に特に力を入れています。その中でも、特に重要視しているのが乗務員教育です。
教育担当のY課長によると、乗務員の能力は以下の3段階に分類されます。

• Aレベル(優秀な乗務員): 配車担当者の指示を深く理解し、自律的に行動できます。クレームやトラブルにも適切に対応し、報告・連絡も円滑です。顧客からの評判もよく、会社にとって貴重な人材ですが、現状ではごく少数です。
• Bレベル(通常の乗務員): 指示通りに動くことはできますが、自ら率先して行動することはありません。しかし、指示された業務はきちんとこなします。Y課長は、このBレベルの乗務員を「要となる人材」と捉え、継続的な動機付けが人材育成の鍵だと考えています。
• Cレベル(採用をためらう乗務員): 人手不足の影響もあり、採用段階での見極めが難しいことから、一定数が在籍しているのが現状です。このタイプは、いくら動機付けをしてもなかなか行動に移さない「不燃型人材」とも言えます。

Cレベルの乗務員がBレベルへと成長するためには、仕事に対するモチベーションを高めることが不可欠です。これらの乗務員には、前職を辞めた共通の理由として、以下の3つのトラウマが見受けられます。

①会社が無関心で冷淡だったこと
②仕事ぶりを認められず、評価されなかったこと
③低い評価が定着し、褒められたり感謝されたりすることがなかったこと

このようなトラウマを克服させ、自己重要感を持たせることが重要です。そのために本人の自主性に加えて、好ましい行動習慣を意図的に身につけさせることに注力しています。個々の能力以上に、優れた行動習慣を優先させることが重要です。特に、優秀な乗務員が実践している行動をモデルとすることが、育成において効果的であると認識しています。
A社では、こうした考えに基づき、各乗務員のレベルに応じた育成手法を原則としています。

外部からの優秀な人材を獲得することも重要ですが、持続的な成長のためには社内で育成する仕組みを構築することが不可欠です。

 


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